「建設業界はIT化が遅れている」ビジネスの現場でよく耳にする言葉です。業界人の立場からすると複雑な思いを持ちますが現状を考えるとそのように言われても仕方がないかもしれません。ここ10年間は様々な業界でIT化が進められています。上手く活用できた業界では働き方改革や労働生産性の向上がそれなりの結果を残していますが、残念ながら建設業界ではあまりうまく活用できなかった結果、他の業界との差が広がってしまいました。
「IT化」に乗り遅れていたはずなのですが、いつのまにやら「DX化」にも乗り遅れている。一体全体どちらに乗ったらよいの?という気持ちになってしまいますが、心配ご無用。さほど大きな違いはありません。要は「パソコンやスマホのデジタル技術を活用することで、時間を大きく節約し生産性を上げよう!」という単純な事なのです。
言葉が難しいと構えてしまいがちになりますが、建設業的に例えると、「現場の職人さんへの連絡にはグループLINEが欠かせなくなったなぁ」とか「あの工務店がイベント案内にFacebookを使っているそうだ」とか「工具を買うのはAmazonよりもモノタロウが充実していて良いなぁ」など、実はDX化の入り口はすでに身近に存在していて皆さん活用を始めているのです。後はそれらのデジタル技術を自分たちが使い易い様に、適正コストと照らし合わせながら検討していけば良いという訳です。
はじめはスケジュールを登録していく事から始めるのが良いでしょう。「現場へGO!」ではカレンダーに各人の予定を登録することが出来ます。
もちろん自分以外のメンバーの予定を確認することもできます。あまり多くの人数を表示させると見づらくなる為、メンバーごとに表示非表示をクリック一つで切り替えることも可能です。
カレンダーの基本的な入力方法が習得出来たら、未来が少し便利になる運用方法をマスターしていただきます。こちら地味なことなのですが、皆様で励行していただくと将来圧倒的に見える化が進む重要ポイントです。近い将来何かの理由で過去の案件を見直したときに、「ああ、こんなことあった」とか「へえーそうだったっけ」と便利を実感していただけることと思います。丁度天引きされていつの間にかたまる貯金を確認した時に似たうれしさに似ているので「行動貯金」とでも名付けましょうか。
カレンダーに入力した予定を確認するだけなら安価なソフトでも(もしかすると無料で)実現できるかもしれません。そしてその方法でなら「そんなこと今でもやってるよ」というかたもいらっしゃるでしょう。「圧倒的に見える化」する為には「紐づけする事」がなにより重要なのです。
「現場へGO!」には現場の情報を一元化して登録する為に「案件」というオブジェクトがあります。お客様へのご説明の際には「担当の方が現場へ持っていかれるファイル帳のデジタル版」というように説明しているのですが、スケジュール登録の際にも、この案件から予定を作成することで自動的に紐づけがされ、余分の手間なく「見える化」が実現します。
人間の記憶というのは本当に曖昧なもので最近の学説では短期記憶容量の限界は4つと言われています。 私自身は「現場へGO!」(Salesforce)とGoogleの組合せでスケジュール管理するようになって以来、忘れる事があまり怖くなくなりました。必要なタイミングでするリマインド(自分へのお知らせ)と合わせて運用することで、いつでも情報にアクセスできるからだと思います。
もちろんこれらは外出先からスマホやタブレットでアクセスすることも可能です。かつて、共に働くスタッフの中には、見積以外のほぼすべての作業をスマホからこなしてしまうつわものもいました。棟上げ途中の建物の梁の上で、なじみの大工さんに「案件」のファイル機能から取り出したPDFをピンチアウト(二本指での拡大表示)して説明しているのをみて少し感動してしまった記憶があります。
文房具のコクヨ調べによるとビジネスマンが書類を探す時間は1日20分、年間にすると約80時間。かつてのベストセラー『気が付くと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ』で著者リズ・ダベンポートは、名刺やメール等さまざま加えると150時間なにかを探している、と指摘しています。
仕事に関わる情報が「現場へGO!」Salesforceに集約されるだけでも、何かを探す時間は大幅に節約できます。効率化の第一歩は実は意外に地味なところにあるのかもしれません。