「お互いの業務をスムーズに」 ——現場社員と協力会社がともに歩む業務改善。 年間5万件の原状回復工事を支える見積り一元管理

導入背景

入退去に伴う原状回復工事やアフター工事を年間数万件規模で手掛ける同社。事業の根幹を支える業務である一方、協力会社から提出される見積りはExcelやPDFなど各社バラバラのフォーマットであり、社内システムへの転記作業(二重入力)が現場の日常業務を大きく圧迫していた。 また、協力会社によって「クロスリビング」「リビングクロス」など品目の表記ゆれがあり、確認や差し戻しの手間がお互いの負担になっていた。そこでSalesforce基盤を活用し、協力会社にとっても迷わずシンプルに見積り入力ができるポータルとして「現場へGO!(見積りガント)」を選定した。

課題
  • 膨大な見積りの「二重入力」作業:協力会社から届くExcelやPDFの見積書を、Salesforceなどの社内システムへ手入力で転記する作業が、現場社員の大きな負担になっていた。
  • 各社バラバラのフォーマットと表記ゆれ:協力会社ごとに見積りの書き方が異なり、「クロスリビング」など同じ品目でも表記がずれるため、確認や問い合わせに膨大な時間がかかっていた。
  • 協力会社に負担をかけない仕組みの欠如:協力会社側も独自のシステムを持っていることが多く、多機能すぎるシステムでは現場に負荷をかけてしまう懸念があった。
効果
  • 現場社員の転記作業が減り、残業を削減:ポータル経由で見積りが直接共有されることで二重入力が解消。最繁忙期の業務負荷と残業時間の大幅な削減が見込まれる。
  • マスター制御で、協力会社側の入力負荷も軽減:事前に取り決めた発注単価のマスターのみを協力会社に表示させることで、入力の迷いや単価間違いを防ぎ、双方の確認の手間を削減した。
  • 社員自らが推進役となり、定着が進行中:「システム化によって双方がスムーズに業務を進められる」と実感した現場社員が、協力会社へ丁寧に操作説明を行い、共にシステムを活用していく関係性を築いている。

年間10万件の工事。現場を圧迫していた「見積りの二重入力」と「表記ゆれ」

同社では、日々の入退去に伴う原状回復工事が年間約5万件、さらにコールセンターで受け付けるアフター工事が年間約5万件と、膨大な数の工事案件を抱えています。これまで、これらの案件に伴う見積り業務には大きな課題がありました。

「協力会社から提出される見積りは、ExcelやPDFなどフォーマットが各社バラバラでした。それをうちの社員が、Salesforceや基幹システムに手入力で転記しなければならず、二重入力の手間が重くのしかかっていました」とシステム担当の楢原氏は当時を振り返ります。

さらに現場を悩ませていたのが、品目名の「表記ゆれ」です。「例えば同じ工事内容でも、協力会社によって『クロスリビング』や『リビングクロス』と書き方が異なります。それを一つひとつ確認し、間違いがあれば問い合わせて修正するといった作業は、件数が多いだけにお互いにとって非常に骨の折れるものでした」

多機能は不要。
Salesforce基盤で「シンプルに使える」ポータルを求めて

この課題を解決するため、複数の見積りシステムを検討しました。最終的に「見積りガントへGO!」を選定した理由は、その“シンプルさ”にありました。

「色々なシステムのお話を聞きましたが、機能が多すぎる“全部入り”のパッケージは求めていませんでした。協力会社に使っていただくことを考えると、学習コストをかけず、とにかくシンプルに見積りができることが一番です」(楢原氏)

同社ではすでにコールセンターのシステムなどをSalesforceで構築していました。自社システムをゼロから改修するのではなく、SalesforceのCommunityライセンスを活用し、標準機能に近い形で協力会社にポータルとして使っていただける点が決め手となりました。

「アフター」から「退去」へ。
実態に合わせた運用設計とマスターの工夫

既にfreeeなどのクラウドツールは導入済みでしたが、案件管理や営業支援(SFA)には課題が残っていました。
そんな時に出会ったのが「現場へGO!」。Salesforceを基盤に、建設業・設備業に特化した設計が施されており、導入支援チームの「現場理解」も決め手の一つとなりました。「建設業って言葉でくくっても、実際の現場の流れを分かってくれる会社は少ない。現場へGO!の担当者は、私たちの“あるある”がすぐ通じました」

「お互いの業務負担を減らすために」——社員自らが丁寧に推進する定着への道

新しいシステムの導入において、一番の壁となるのが「協力会社の理解と協力」です。当初は「2重登録になる」「面倒くさい」といった抵抗感を持たれる懸念もありました。しかし、ここで大きな推進力となったのが、同社の「現場社員」たちでした。

「見積りガントを導入してくれた部門の作業効率は確実に上がっています。社員にとっても転記作業がなくなるという大きなメリットがありますが、同時に協力会社にとっても、修正のやり取りが減るなど、双方の業務がスムーズになります。だからこそ、社員自らが各営業所で丁寧に説明会を開き、『お互いの手間を減らすために、ぜひ一緒に使っていきましょう』と熱心に呼びかけてくれているんです」(楢原氏)

システム部門が上から押し付けるのではなく、現場社員がシステム導入の意義を深く理解し、協力会社と一緒になって業務改善に取り組んでいく。この良好なパートナーシップが、システム浸透を力強く後押ししています。

まだ道半ば。検索機能の強化と他システム連携など、次なるステージへ

導入後、原状回復業務の最繁忙期をこれから迎える同社。この繁忙期をお互いにいかにスムーズに乗り越えるかが一つのポイントとなります。また、今後は利用する協力会社の数をさらに拡大していくことが目標です。

「課題は、すでに自社で独自のシステムを持たれている協力会社とのすり合わせです。そういった協力会社向けに、所定のフォーマットでCSV等を一括アップロードするだけで見積りが自動作成されるような機能があるとありがたいですね。また、入力画面で『クロスリビング』と検索しても『リビングクロス』がヒットするような、表記ゆれを吸収するAI検索機能にも期待しています」(楢原氏)

「現場業務の負担軽減」という確かな果実を手にし始めた同社。「見積ガントへGO!」の基盤の上で、協力会社とのより良い連携に向けた仕組みづくりは、次のステージへと進んでいます。

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