TPM上場準備における“進行基準対応”をわずか3か月で実現〜建設業DXを支えた「現場へGO!」導入の舞台裏〜

会社名株式会社バレッグス
業種 不動産, 建設・工事
企業規模 101~300名
導入背景
バレッグス社では、事業の多角化・拡大に伴い、部門ごとに異なるシステムを使用していたため、顧客情報・進捗・原価・契約などが分断され、会社全体の状況を経営企画室が一元的に把握できない状態が続いていた。特にTPM上場準備において「工事進行基準の期ズレなく正しく処理する体制」が必須であったものの、営業・建築・管理部門のデータがバラバラで、必要な情報を揃えるだけでも大きな負荷が発生していた。また、建築部の独自システムはSalesforceと連動せず、見積も階層化できないなど、建設業の実務に合わない点も多数存在。こうした状況を抜本的に解決するため、建設業向けに最適化され、階層見積や既存カスタムとの整合性を持つ「現場へGO!」を導入するに至った。
- 部署間で情報が分断:営業・建築・管理部門間でデータがバラバラに管理され、全社の数字を揃えることが困難だった。
- 工事進行基準への対応が困難:原価・進捗・契約情報が一元化されておらず、TPM上場準備に必要な進行基準の処理が極めて難しい状況だった。
- 建築部の独自システムが足かせに:Salesforceと連携せず、階層見積も作れず、建設業特有の実務フローに適合しなかった。
- 全社120名規模での一元管理を実現:案件・見積・契約・発注など主要業務をSalesforceへ集約し、全社で同じデータを参照できる体制に。
- 契約・発注プロセスの電子化で業務効率化:クラウドサイン連携により紙の製本が不要に。口頭発注もゼロになり、コンプライアンスが強化された。
- 進行基準への監査対応がスムーズに:情報一元化により必要情報がリアルタイムで把握でき、TPM上場準備の工事進行基準対応を短期間で実現。
はじめに
東京・城南エリアに根ざし、不動産事業・建築事業・新規事業など幅広い事業を展開する「株式会社バレッグス」。
地域に根ざした事業として賃貸仲介から新築工事、リノベーション、さらには社員の福利厚生施設であり、地域住民向けの飲食店でもある「この街の食堂」や国際事業まで幅広く展開する同社は、事業規模の拡大に伴い、社内の情報管理体制の見直しを迫られていました。
特に、IPO準備の中で重要な論点となったのが「工事進行基準の適切な運用」です。
原価や進捗状況を把握し、会計処理を期ズレなく行うことは建設業にとって不可欠な要件ですが、当時は部署ごとにシステムが分断されていたため、経営企画室では必要な情報を一元的に把握できず、上場準備に大きな支障が出ていました。
その根深い課題を解決したのが、建設業向けのSalesforceアプリ「現場へGO!」でした。
本記事では、実際に導入を主導した経営企画室の太田さん・北村さんへのインタビュー内容をもとに、導入前の課題から定着、そして未来の展望までを読み物形式でまとめました。
導入前:部署ごとのシステム分断と“進行基準対応の壁”
2020年のSalesforce導入後も、同社の情報管理には大きな課題が残っていました。
・顧客管理はSalesforce、それ以外は別システムやExcel管理
・Salesforceの見積は階層構造にできず、現場には不向き
・情報は部署ごとに散らばり、予実はExcel管理で属人化
これらの課題により、経営企画室では全社の予実を俯瞰できず、上場準備の重要プロセスである「工事進行基準」の対応が極めて困難な状況でした。
太田さんは当時を次のように振り返ります。
「部署間で見ている数字が違うため、全体を俯瞰するのが難しく、必要な情報を集めるだけでも大変でした。上場準備を考えると、この状況のままでは対応ができないと感じていました」
情報の分断が引き起こす非効率は、現場にも大きな影響を及ぼしていました。
建築部門では、別システムで見積や発注を作成していたため、Salesforceとの連携が弱く、結果的に現場がSalesforceを更新するメリットが見えづらかったのです。
選定理由:“階層見積”と建設業への深い理解
こうした課題を背景に、同社は複数のツールを比較検討しました。
その中で「現場へGO!」を選んだ理由は明確でした。
1. 建設業に不可欠な「階層見積」に標準で対応
建設業の見積は、工種や工程が細かく階層化されるのが一般的ですが、Salesforce標準機能では階層構造を作れません。
他のツールでも対応が難しく、業務にフィットしないという問題がありました。
北村さんはこう語ります。
「階層見積を標準で作れるのが大きかったです。建設業の“現場の運用”を理解して作られていると感じました」
2. 社内の既存カスタムを活かせたこと
既に自社で作成していたSalesforce内のカスタムオブジェクト・業務プロセスと整合性をとりながら導入できた点も大きな決め手でした。
3. “運用をパッケージに寄せる”ことで短期導入できる
同社は「システムに合わせて業務を変える」という方針を持っており、最小限のカスタマイズで導入できる点も高く評価しました。
導入プロセス:わずか3か月で本番稼働
導入プロジェクトは、北村さんを中心とするわずか2名の内製チームで進められました。
外部委託は一切行わず、要件整理から構築、テスト、本番移行までを短期間で完了させました。
北村さんは当時の状況をこう振り返ります。
「時間はなかったです。でも、現場へGO!は建設業向けの標準機能が揃っていたので、メイン機能はそのまま利用でき、工事進行基準の開発に集中することが出来ました。」
結果、開発期間はたった2か月。
全社利用開始まではわずか3か月という驚異的なスピードを達成しました。
全社浸透の鍵は“日常の対話”と寄り添う姿勢
導入後、最初に直面したのは「定着」の壁でした。現場社員からは「使いづらい」「わからない」という声が多く、特に建築部では抵抗もありました。
それでも、北村さんは一人ひとりに寄り添いながら浸透を進めていきました。
- マニュアルを整備
- 社員が同じフロアにいるため、都度対面でサポート
- 日常的に声をかけ、疑問を解消
- 操作に慣れるまで粘り強く伴走
トラブルが起きたとしても絶対にそのままにせず、定着するまで改善をし続けた。
その結果、「使いづらい」「わからない」といっていた社員も今では誰よりも現場へGO!を使いこなしている。
太田さんは北村さんの姿勢を次のように評価します。
「北村は、人の話をよく聞きます。反対されても、相手が理解するまで向き合う。その姿勢が社内の安心感につながっているんです。」
導入後の変化:情報一元化と進行基準対応を同時に実現
導入後、同社には大きな変化が生まれました。
1. 全社120名規模で利用が定着
案件管理、見積作成、契約、発注、承認などの主要業務が一つのプラットフォームに統合されました。
2. 発注管理をSalesforceへ統合し、契約書を電子化
クラウドサインと連携し、紙の製本作業は不要に。
これにより、口頭発注を撤廃し、コンプライアンス強化にも寄与しました。
3. 上場時の工事進行基準対応をスムーズにクリア
取り扱う情報が一元化されたことで、財務・経営企画が必要な情報をリアルタイムに把握でき、監査対応もスムーズになりました。
太田さんはこう話します。
「IPO準備の中で、契約・発注・進行管理が一つのシステムに集約されたことで、本当に大きな効果がありました」
今後の展望:さらなる現場連携と機能拡張へ
現在は案件管理・見積・発注・契約・承認といった主要業務を「現場へGO!」で既に実現済みではありますが、北村さんは次のように語ります。
「『使いやすい』の先にある、『システムを感じさせない』世界を目指しています。社員が目の前のお客様に最大限注力できる環境をつくること。
それが結果として、顧客体験の向上と会社の成長につながると信じています」
まとめ
バレッグス社がわずか3か月で進行基準対応を実現できた背景には、
- 建設業向けに最適化されたアプリケーション「現場へGO!」
- パッケージに運用を寄せるという判断
- 内製チームによるスピーディな開発
- 北村さんの粘り強いコミュニケーション
という4つの要素がありました。
現場と経営をつなぎ、業務全体を一元化した今回の取り組みは、建設業におけるDXの成功モデルともいえるものです。
今後のバレッグス社のさらなる成長と、現場へGO!を活用した業務変革の広がりが期待されます。
