工務店向けCRMとは?顧客管理の基礎知識と導入のポイント

目次

なぜ工務店にCRMが注目されているのか?

ここ数年、建設業界や工務店の現場でも「CRM(顧客管理システム)」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
かつては紙の台帳やExcelで顧客情報を管理するのが一般的でしたが、近年は業務のデジタル化が進み、それだけでは対応しきれないケースも多くなっています。

たとえば、リフォームや修繕の相談を受けた顧客とのやり取りを、担当者の記憶やメールに頼っていませんか?
「前にどんな工事をしたか」「次の提案時期はいつか」といった情報を社内で共有できていないと、対応が遅れたり、チャンスを逃したりすることもあります。

そこで注目されているのがCRMです。
CRMは、顧客との関係性を長期的に管理・強化するための仕組みで、見込み客のフォローや既存顧客へのアフターサービスなどを効率的に行うことができます。

特に、地元密着で信頼が重視される建設業や工務店こそ、CRMを活用することで「選ばれる理由」をつくりやすくなります。

このコラムでは、CRMの基本的な考え方と、建設業・工務店における具体的な活用シーンをわかりやすく解説していきます。

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CRMとは何か?基本的な定義と役割

CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では「顧客関係管理」と訳されます。
簡単に言えば、お客様との関係を長期的・継続的に築いていくための仕組みのことです。

たとえば、どんなお問い合わせがあったのか、過去にどのような工事を行ったのか、次に提案すべき時期はいつか——こうした顧客に関する情報を一元的に管理し、チーム全体で共有するのがCRMの基本的な考え方です。

紙やExcelでの管理の限界

これまでは、顧客情報を紙のファイルやExcelで管理してきたという工務店や建設会社も多いと思います。
しかし、情報がバラバラだったり、担当者が変わると履歴が引き継がれなかったりすることで、「誰に、何を、いつ」伝えたかが曖昧になることも少なくありません。

CRMを導入することで、すべての顧客対応を見える化し、誰が見てもすぐに状況が分かるようになります。これにより、担当者の交代や引き継ぎの際もスムーズに対応でき、顧客満足度の向上にもつながります。

「営業ツール」ではなく「顧客との信頼構築の道具」

CRMと聞くと「営業のための道具」というイメージを持つ方も多いですが、建設業や工務店においては「信頼を積み重ねるための土台」としての役割が大きいのが特徴です。

特に、リフォームやアフターサービス、定期点検など、長期的な関係が求められる業種においてはCRMの活用が大きな強みとなります。

工務店におけるCRMの具体的な活用例

建設業や工務店では、個別対応が多く、顧客との関係が長期にわたることが一般的です。CRMを導入することで、日々の業務がスムーズになるだけでなく、信頼され続ける会社を目指すための土台が整います。

ここでは、実際にどのような場面でCRMが活用できるのか、代表的な例をご紹介します。

1. 顧客情報の一元管理

建築工事やリフォーム、外構工事など、ひとつの顧客に対して複数の案件が発生するのが工務店や建設業の特徴です。

CRMを活用すれば、顧客の基本情報(住所、家族構成、建物の構造など)から、過去の施工履歴、対応履歴、見積書・契約書の管理までを一元化できます。

これにより、「あの顧客、以前どんな施工をしたんだっけ?」といった確認作業がスムーズになり、社内全体の業務効率も向上します。

2. 見込み客やOB顧客のフォロー

住宅相談会やホームページからのお問い合わせなど、すぐに契約には至らなかったお客様も貴重な見込み顧客です。

CRMを使えば、「何月に問い合わせがあったか」「その後、資料を送ったか」「次に連絡するタイミングはいつか」などを管理できるため、タイミングを逃さずアプローチできます。

また、過去に施工を行ったOB顧客への定期的なフォローや、キャンペーンのお知らせなども一括で行えるため、リピートや紹介につながる仕組みがつくれます。

3. アフターサービスや点検の管理

住宅は完成した後も定期点検や修繕対応など、長いお付き合いが続きます。

CRMを使えば、「引き渡し後○年点検の時期が近づいている顧客」などを抽出し、漏れなく案内を出すことが可能です。

万が一、クレームや不具合が発生した場合も、対応履歴が記録されていることで、スピーディかつ的確な再対応ができます。

4. 社内での情報共有と引き継ぎ

担当者が休んだり退職した場合でも、CRMに記録があれば「誰が、いつ、どんな対応をしたか」がすぐに把握できるため、引き継ぎの手間やミスを最小限に抑えられます。

属人化を防ぎ、組織として安定した顧客対応ができるのは、大きな安心材料となるでしょう。

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CRM導入によるメリット

CRMを導入することで得られるメリットは、単なる「情報管理の効率化」にとどまりません。
特に人との信頼関係が仕事につながる建設業・工務店においては、顧客満足度の向上や営業機会の創出といった本質的な価値にもつながってきます。

ここでは、実際にCRMを導入することで得られる代表的なメリットを紹介します。

1. 顧客対応の質が向上する

CRMによって顧客情報や対応履歴が蓄積されると、過去のやり取りや施工履歴を確認したうえで、的確かつスムーズな対応ができるようになります。

「○年前にウッドデッキを施工した○○様ですね」と具体的な話をすれば、お客様の安心感も大きくなります。
こうした“ちょっとした気配り”の積み重ねが、顧客満足度の向上とリピート・紹介の獲得につながります。

2. 営業機会の取りこぼしを防げる

「問い合わせがあったけど、忙しくてそのままになってしまった」
「次回の点検案内を忘れていた」
こうしたもったいない機会損失は、実は多くの現場で発生しています。

CRMを活用すれば、見込み客のステータス管理やアラート機能によって、適切なタイミングでのフォローアップが可能になります。
結果として、成約率の向上や、長期的な関係づくりに強い営業体制が築けます。

3. 情報の属人化を防ぎ、チーム全体で顧客を支える体制ができる

特定の担当者しか状況を把握していない状態では、引き継ぎがうまくいかず、顧客対応に不安が生まれます。

CRMを導入することで、情報が会社全体の資産として蓄積され、誰でも顧客の状況を把握・対応できる体制が整います。
これにより、社員の入れ替わりや担当変更のリスクにも強くなるのです。

4. 社内業務の効率化と時間短縮

営業日報や対応履歴の記録、進捗の報告など、これまで個別にやっていた作業がCRMに集約されることで、記録や報告の手間が減り、本来の業務に集中できるようになります。

また、経営者やマネージャーが社内の状況をリアルタイムで把握しやすくなるため、的確な判断・指示がしやすくなるのも大きな利点です。

CRM導入時の注意点と成功のコツ

CRMは非常に便利なツールですが、導入すればすぐに成果が出るわけではありません。
特に、現場の多忙さやITに対する苦手意識がある建設業・工務店では、「使いこなせずに終わってしまった」というケースも少なくありません。

ここでは、CRM導入を成功させるために押さえておきたいポイントと、つまずきやすい注意点を紹介します。

1. 「誰が使うのか」を明確にする

CRMは営業担当や現場監督、事務スタッフなど、複数の立場の人が使うことを前提に設計されていることが多いです。
しかし、実際には「入力が面倒」「どこまで記録すればいいのか分からない」といった声が出ることもあります。

そこで重要なのは、「誰が、いつ、どの情報を記録・更新するのか」をあらかじめルール化しておくこと。
運用のルールが曖昧なままだと、情報が偏ったり、使われなくなったりする原因になります。

2. シンプルな使い方から始める

高機能なCRMほど、「結局どれを使えばいいのか分からない」と感じてしまうことがあります。

最初からすべての機能を使いこなそうとせず、まずは「顧客情報の登録」と「対応履歴の記録」の2点に絞るのがおすすめです。

慣れてきたら少しずつ、見積管理、点検のリマインド、メール配信など、業務に合った機能を段階的に活用していくことで、スムーズな定着につながります。

3. 社内での「意識合わせ」が鍵になる

CRMはツールである以上、「使う人の意識」がなにより重要です。
「入力は面倒」「見なくても何とかなる」といった意識があると、どんなに良いシステムでも定着しません。

導入前に、「なぜCRMを使うのか」「会社としてどんな価値があるのか」を全員で共有しておくことが大切です。
可能であれば、小規模なチームで先行運用し、その成果を社内で共有することで、徐々に理解と納得を広げていくことも有効です。

4. サポートや相談体制がしっかりしているツールを選ぶ

導入してから「設定が分からない」「困ったときに誰にも聞けない」となっては、現場の負担が増えるだけです。

建設業・工務店の業務に合ったCRMを選ぶことはもちろん、日本語でのサポート体制や、導入後の活用支援がしっかりしているサービスを選ぶことが、運用の安定につながります。

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建設業・工務店こそCRMで信頼の見える化を

建設業や工務店では、「人と人との信頼関係」が仕事の根幹を支えています。
問い合わせから契約、施工、アフターサービスまで、一人ひとりのお客様との長い付き合いが前提となるからこそ、その関係性を記録し、育て、つないでいく仕組みが必要です。

CRMは、そうした信頼の蓄積を「見える化」し、会社全体で共有できるようにするためのツールです。

競争の激しい時代だからこそ、差がつく仕組みを

人口減少や市場の変化により、建設業・工務店を取り巻く環境は年々厳しくなっています。
そんな中で選ばれ続けるためには、ただ「技術がある」だけでなく、「顧客対応の質」や「組織力の強さ」も求められる時代です。

CRMの導入は、その第一歩。
技術や経験といった「人の力」を最大限に活かすために、今こそ「仕組みづくり」に目を向けてみませんか?

現場へGO!で実現できるCRMの機能とお客様の体験談

建設業や工務店の現場で実際に活用されているCRMシステム「現場へGO!」は、顧客情報の管理や関係構築に特化した機能が豊富に揃っています。ここでは、実際に「現場へGO!」を導入したお客様の体験談を交えながら、CRMで実現可能な代表的な機能をご紹介します。

お子様の誕生月を記録して誕生日プレゼントを送る

「現場へGO!」では、顧客情報の中にお子様の誕生月を登録でき、誕生日に合わせてプレゼントを送る仕組みが簡単に管理できます。
ある工務店様では、この機能を活用して、お客様との関係性をより深め、リピート率の向上につなげています。

お歳暮を送った履歴の記録でフォロー漏れ防止

季節の挨拶やお歳暮の贈答履歴も「現場へGO!」で一元管理可能です。
過去にいつ誰にどんな贈り物をしたかがひと目でわかるため、同じものを重複して送るミスやフォロー漏れを防止できると好評です。

1回目お土産を渡したら2回目は違うお土産を渡す管理も簡単

顧客ごとの接触履歴を細かく記録できるため、例えば「初回には〇〇のお土産を渡したが、次回は違うものを」といったフォローもスムーズに行えます。
これにより、お客様一人ひとりに合ったきめ細かな対応が可能になりました。

お客様からのご紹介をカウント・管理

「現場へGO!」は紹介顧客の管理機能も充実。
誰から紹介を受けたかを正確に記録し、紹介数をカウントすることで、紹介営業の効果をしっかり把握できるようになりました。

これらの機能は、いずれもCRMの基本機能でありながら、建設業・工務店の現場でのニーズに合わせてカスタマイズや使いやすさが追求されています。

「現場へGO!」を活用することで、顧客との良好な関係づくりがより確実に、そして効率的に進められるのです。

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